漱石が最も嫌いであったのはおそらく、金に物を言わせて、或いは組織の大きさをバックに、高圧的であろうと逆に作戦的な慇懃無礼であろうと、社会的に存在している者には大きな怒りがあったものと思われるがどうであろうか。嫌いだった岩崎財閥については、著書の中でおそらく唯一、三重ビックリマークがついている。今日の私はある意味最も辛い日であったよ、私に対して東京の巨大組織の担当者は、これぞの権力をちらつかせ、これぞの訴訟遂行力を、つまり金と弁護士を抱えていることをチラつかせ、最終的に従わせようとするのだ、巧妙に心理誘導して。