去っていく日々、去っていく人。そして、父の命日が近づいて、心の浮かんでくる彼是。
年賀状で非常に辛い思いをした。書く気がないのに書いているのであったとは愚鈍な私は気が付かなかったから。
もう出さないと昨日ハガキを書いておいた。こんな厭な思いをするなら、最初から返事をよこさないでほしかった。
去っていく人がいれば勿論止めはしないよ。
もうすぐ父の命日。
亡くなるときに、年末か年始に、父と病気の事や入院先の事等を長話をした。
本当に不思議だった。
私も父の声を聴きたかったし、父もなかなか受話器を置かなかった。
息子の事や娘の事もいつも心配していた。もちろん私の仕事の事も。
亡くなった翌日の朝は、何も知らずに検査入院先の病院に電話した。
病院職員と話がかみ合わない。私は亡くなったことの連絡を受けていなかったから。なぜ連絡すべき者がしなかったかは情けない話でできないが。
結局父は心臓発作でその前の晩に亡くなっていたのだ。
是非とも一度生家に帰りたいと言っていたことさえ叶わなかった。
つくづく、罪深いものだと思う。信仰心のない者はかくのごときなのか。私は帰ってもらいたかったが。
夫々に、天網恢恢疎にして漏らさず、天罰を受けるが如しだ。
母には母の匂いがある。それは強烈な記憶だ、今でも。
父には父に匂いの記憶もある。
私は、その記憶を持ってあの世に行くのであろうか。その匂いのするところがあの世にあればそこに向かって走っていくのであろう。私の息が切れたときに。
心はいつでも、小さかった時の幸せ記憶。それがあるから毎日の絶望感に負けずに生きている。それしかないな。